「デュオヒルズ甲府」販売用公式サイトオープン
「甲府まちづくりラボラトリー」という取り組みのきっかけでもある、甲府銀座ビル跡地における再開発プロジェクト「デュオヒルズ甲府」の販売用公式サイトがオープンしました。2〜14階の住宅部分で定住化の促進、1階の商業床で消費・雇用・賑わい創出、かすがもーるに面した公開空地で景観創造・交流創出を図ります。公式サイトはこちらのURLから。→ http://www.duo-yamanashi.net
きっかけ
「甲府銀座ビル」…というより、ダイエーもしくはトポスと言った方が地元の皆さんにはピンと来るのでしょうか?甲府市中央1丁目、かすがも〜るに面して建つその建物は、かつて南口の商店街の賑わいの中心だったと聞きます。ところが2009年以降は空きビルとなり、その後の所有者が税金を滞納し差し押さえ物件となるなど不幸な状況が続きました。「中心市街地活性化のボトルネック」と言われ、市や地元商店街は長らく、建替えにより新たな有効活用が行われることを待ち望んでいましたが、2014年、株式会社アクロスが競売により、本物件を取得したことにより、甲府銀座ビル跡地における再開発プロジェクトが本格的にスタートしました。
2〜14階の住宅で定住人口を増やし、1階のテナントで人を呼び賑わいや消費を創出し、一般の人が利用できる公開空地は、街並み景観を整備しながら待ち合わせやイベントの場となり、プロジェクト全体で地域の活性化に寄与することを前提としています。
では、本当に活性化に効果を発揮する1階のテナントって何だろう?このことについては地元の方達の意見にも耳を傾けながら、時間をかけてちゃんと考えて行きたいな…そのための“情報プラットホーム”として、「甲府まちづくりラボラトリー」の構想が持ち上がりました。
現在、ラボラトリーの意義は更に広がっています。本プロジェクトは、中心市街地活性化の一助やきっかけになり得たとしても、本プロジェクト単独で、中心市街地の活性化はなし得ない…。甲府銀座ビル跡地における再開発プロジェクトをきっかけに生まれた「甲府まちづくりラボラトリー」という取り組みは、その活動範囲を広げ、街全体の活性化に様々な角度から関わって行きたいと考えています。
甲府銀座ビル再開発どんな感じに 不動産開発会社 常務取締役 岡本美都夫さん 町の一部に活性化も狙う
—甲府銀座ビルの再開発計画が公表されました。新ビルは2階から14階が家族向けマンションになりますね。入居は見込めるのでしょうか。
甲府は2006年〜07年にマンションの供給が多くあり、10年にもココリビルのマンションができました。しかし、その後、供給はほぼ止まってしまったので、需要はストックされていると考えています。06〜07年のマンション規模は1棟56戸〜125戸。これが甲府のマンションの上限値とみて、今回のマンションは124戸になっています。
—マンション建設とともに、中心市街地の活性化事業も発表しています。なぜ活性化事業を手がけることになったのでしょうか。
再開発事業には、国、県、市から補助金をいただいています。マンションの販売価格が安い地方都市では、補助金がないと事業化が厳しい面があります。その中で、行政が資金を出す以上は、町の活性化という形で貢献してもらいたいという話しがあったことがきっかけです。
私たちは1級建築士事務所から、今の不動産開発会社を作りました。単純に建物を設計して造ればいいというのではなく、建物を造ることは町の一部をつくることと思っています。いい町をつくりたいし、地域の期待にも応えたい。活性化事業にはやりがいと意義を感じています。
—活性化事業はどのようなものですか。
新ビル1階の商業施設建設と、「甲府まちづくりラボラトリー(仮称)」です。商業施設は、この地域ならではのものにしたいと考えています。地方では、古くからある食材や伝統工芸品をおしゃれにアレンジして成功している事例があります。地元に元々あるものを、洗練された形で生かせる店舗を出したい。
また、甲府に来て駅前図書館があることに驚きました。山梨は人口100万人当たりの図書館の数が日本一で古本市も多い。ならば本にからめた事業もいい。ヴァンフォーレ甲府などスポーツチームがあることも、生かすことのできる地域の資産です。いろいろなところに思いを巡らしています。
店舗の数は1〜3で、事業者は県内外から検討します。人を集められるかどうかが最も大事です。
ラボラトリーでは、近隣商店街の皆さんや、町づくりを研究している学生、若いクリエーターたちと、商業施設や広場を利用した活性化策を考えていきます。今年春から本格始動します。
テナントやプロジェクトの状況によって活性化事業の形は変わっていきます。しかし、この1物件で終わるのではなく、第2、第3の再開発の事業に発展させ、5年、10年と町全体の活性化に関わっていけたらと考えています。
—東京の不動産会社として、甲府の町はどのように見えますか。
最初は正直なところ、元気がないなと感じました。ただ、甲府駅北口は再開発が進み、官庁も建て替えられました。少しずつ、元気を取り戻しているように思い、将来に期待を持っています。魅力のあるものは町の中に点在しています。ただ、少ない。魅力的な点が線で結ばれ面になることで、にぎわいが形成されることが町です。
—目指す町のイメージはどんなものでしょうか。
大げさにいえば、東京の丸の内です。年末に甲府を歩いて思ったのは、イルミネーションなどがなくクリスマスっぽさを感じなかったこと。丸の内は外国のような路面に、装飾もあり、空間が魅力的です。歩くだけで楽しく、来ることが楽しい。新ビルも、待ち合わせの場所になるような象徴的な建物にしたいですね。
岡本美都夫
おかもと・みとお
1969年、東京生まれ。甲府銀座ビル再開発事業主3社のうちのアクロスの常務取締役。これまで15年ほど、不動産事業に関わってきた。現在、週1〜2回甲府に通い、事業主の窓口として地域住民と話し合いを重ねている。
取材を終えて
不動産のプロ 視点に驚き
取材で驚いたのは、岡本さんが自分で積極的に町を歩き回り、「おもしろいフリーペーパーを作る人がいる」「この通りにこんな店がある」などと、ご自身の見方で話されたことだ。活性化に取り込むことができそうな素材や特徴を、少しでも見つけたいのだそうだ。
甲府の中心街は「活性化」という言葉があふれている。様々な人が町を心配して、人を呼び込み交流を生み出す努力をしている。しかし、不動産のプロが考える町のにぎわいは、また違った視点のものになると思う。
私が銀座ビル近くの朝日新聞甲府総局に赴任して2年。ビルは町の真ん中にあいた大きな暗い穴のイメージだった。ここに多くの家族が住み、広い通りや広場ににぎわいが生まれるところを想像すると明るい気持ちになる。再開発の完了を楽しみにしつつ、事業主と住民の話し合いや活性化議論の行方をしっかりウォッチしていきたい。(榊原紘和)朝日新聞山梨版(2015年1月28日付)
甲府銀座ビル再開発着手の式典 完成は17年秋の見込み
甲府中心街にある甲府銀座ビル(甲府市中央一丁目)が、東京の不動産会社などによって再開発されることになり、17日、事業着手の記念式典が開かれた。
新しいビルは14階建てで、1階に300平方メートルの商業施設、2〜14階に家族向けの集合住宅124戸が入る。事業者は不動産会社アクロス(東京都新宿区)とマンション分譲事業を手がけるフージャースコーポレーション(東京都千代田区)、東京ガス山梨の三社。
完成は17年秋の見込み。
式典で宮島雅展・甲府市長は「銀座ビルは長年の懸案だった。新たな計画が動き出したことは感慨深い。まちづくりのパートナーとして期待している」と話した。アクロスの岡本美都夫常務取締役は「建ててしまって終わりではなく、継続的に地域の活性化に関わっていきたい」と話した。
甲府銀座ビルは1974年にダイエー甲府店としてオープンした。2009年にスーパー「オギノ」が撤退したあと空きビルの状態が続き、所有者が二転三転して再開発が遅れていた。
・朝日新聞(2014年12月18日付)
フージャース、甲府で中心街活性化—地元の懸案「甲府銀座ビル」を再開発
フージャースコーポレーションは、甲府市の中心市街地にある「甲府銀座ビル」跡地を活用した中心市街地活性化事業に着手する。年内にも解体準備に入り、17年秋頃には商業施設や共同住宅、公開空地として竣工する予定。
09年2月に最後のテナントが撤退してから長らく空きビルとなっていた。「甲府銀座ビル」(甲府市中央1−70−1)の活用は、中心市街地空洞化を懸念する地元にとっても長年の課題だった。同事業は同社のほか甲府銀座ビルの隣地を保有する東京ガス山梨、アクロスの3社との共同事業で、アクロスが13年6月に同物件を競落。現在はフージャースが同物件の所有権を持つ。敷地面積は2412・25㎡。14階建ての建物および敷地外周部に公開空地約350㎡を整備する計画で、1階の商業施設部分はアクロスが買い戻し、既存業態ではなく地元が参画して地域資源を活用する新規ビジネスモデルを構築する方針。その具現化のため、事業者と地元関係者が連携して「甲府まちづくりラボラトリー(仮称)」を立ち上げ、活性化策の策定や実施、運営を担っていく。東京ガス山梨も等価交換で1階店舗を保有する予定。
住宅部分は3LDK・ファミリータイプの分譲マンションとし、定住化を推進していく。継続性、永続性を考慮し、店舗、住宅部分とも適正規模にとどめた。
国、県、市から補助金が交付される優良建築物等整備事業の決定を受けているほか、防災・省エネまちづくり緊急促進事業にも申請する予定。
17日に執り行われた事業着手の記念式典には事業者3者のほか、地元自治体や商店街から多くの来賓が参列した。
・日刊不動産経済通信(2014年12月18日付)
複合ビル17年秋完成「甲府銀座ビル」跡地に14階建て再開発へ記念式典
甲府中心街の空きビル「甲府銀座ビル」(同士中央1)跡地の再開発事業者による記念式典が17日、同ビルであった。宮島雅展市長や市の商店街関係者らが出席。事業者側は同ビルを解体後に1階が商業施設、2〜14階が集合住宅の複合ビルを2017年秋に完成させる計画を公表し、「中心街活性化に貢献したい」と説明した。
甲府銀座ビルは大手スーパーマーケットなどが入居してきたが、撤退。2009年からは空きビルとなった。ビルは所有者の税金滞納から東京国税局の差し押さえ物件となり、昨年に東京都の不動産開発会社「アクロス」が9200万円で落札。その後、落札への異議申し立てがあったが、同局が棄却し、今年7月に同社がビルを正式に取得した。
事業者は、アクロスのほか、地方都市の再開発事業を多く手掛ける「フージャースコーポレーション」(東京都)など3社。事業費は約40億円(途中で記事データ途切れ。)
・毎日新聞(2014年12月18日付)
39億円で複合ビル建設 甲府銀座ビル跡地
(株)フージャースコーポレーションと東京ガス山梨(株)、(株)アクロスの3社は、甲府銀座ビル跡地で店舗と集合住宅による複合ビルの建築を進める。先月28日付で優良建築物件整備事業の補助金交付が決定したため、まず既存建物の解体工事に着手する。総事業費は39億円で、このうち9億4000万円が補助金。今月17日には「中心市街地活性化事業着手記念式典」を挙行した。
建物は1階が店舗、2階から14階までが集合住宅。今月から解体工事を始め、来春以降に新築工事に着手し、2017年秋ごろの竣工を目指す。
1階の商業施設(約300㎡)は地域資源を活用した集客機能を整備し、2階から14階を集合住宅(約120世帯)としファミリータイプの住宅を供給。敷地外周は公開空地(約350㎡)として街に開放する考え。商業施設については新規のビジネスモデルを構築(地元の知恵、人材、資本などを最大限活用)する計画で、具体化のため来春には「甲府まちづくりラボラトリー(仮称)」を立ち上げ、策定から拡散までの流れを作る。
また16年秋ごろには、活動に成果と活性化策の具体案(新規ビジネスモデル)を発表し、17年秋ごろに中心市街地活性化に貢する新規ビジネスモデル事業を開始する。
甲府銀座ビル活性化事業式典
記念式典の式辞でフージャースコーポレーションの廣岡哲也会長は「歴史ある甲府の地で私どもに事業機会を与えていただき、心より感謝している。すべては地域と市民のためと心得ている。それを肝に銘じて、事業を進めてまいりたい」とあいさつ。
東京ガス山梨の高嶋英一社長は「山梨の人口は減っているが、定住人口や交流人口を確保したい。今事業は、甲府市の宮島ビジョンを実現するための一つになる」と抱負。
来賓として宮島雅展甲府市長は「(甲府銀座ビルの建て替え)は新たなマンション供給にとどまらず、この効果を幅広い関係者の参画による街づくりとして波及させていくための重要なプロジェクト」と、ビルの再生に期待を寄せた。
国土交通省関東地方整備局の上野賢一建政部長は「このプロジェクトは官民が連携して取り組むことで商店街の魅力が向上し、観光客が増加することで、賑わいは中心市街地だけにとどまらないと思う」と述べた。
甲府銀座ビル(地上8階地下1階建て)は、商業施設が入居していたが撤退により閉鎖。その後所有者について差し押さえや公売、異議申し立てにより係争が発生していた。
・山梨建設新聞(2014年12月19日付)